

検査・診断、治療や移植にかかわる
看護ケアのポイントや
患者さまの心のケアについて説明していきます。
先生からのメッセージは
現場の生のアドバイスをいただいています。
近年、造血幹細胞移植(以後、移植)の成績向上により、長期生存者は増加しています。
一方で、慢性移植片対宿主病(GVHD)や感染症、骨疾患、内分泌代謝疾患などの晩期合併症により、
生活の質(QOL)の低下が認められる患者さんも増えています。
そのため、晩期合併症の早期発見、治療介入、感染対策だけでなく、患者さんの日常生活全般に対して
サポートを行う移植後長期フォローアップ外来(LTFU外来)が注目されています。
移植後3)
移植後の患者さんは退院後の生活、身体状況、再発不安、長期的な後遺症、社会復帰を巡る問題などのストレスが生じる可能性があります。 よって、LTFU外来では、症状の有無だけでなく、患者さんの不安に寄り添ったケアが必要となります。患者さんが努力していることを支持し、抱えている問題を一緒に解決できるように信頼関係を構築しながら介入していくことが大切です。
看護師は、患者さんを取り巻く環境、日常生活、社会的役割などの状況を把握しながら多面的にアセスメントし、問題解決につなげることが重要です。
移植を控えた患者さん1)
移植後は、自宅療法期間中のセルフケアと長期的観察が必要であることを移植前から患者さんとご家族に説明し、理解してもらうように努めます。
看護師は移植後のケアをするためにも、移植前から、患者さんの移植後の生活を把握しておくこと、セルフケアについては化学療法中から指導し、その能力を高めておくこと、退院後の生活のサポート体制を確認し、整えておくことが大切です。
また、移植後の体調や生活、気持ちの変化について、移植前から情報を提供して、患者さんが十分に理解した上で、移植を決断できるように関わることが重要です。
資料
1)河野文夫(監修). 造血幹細胞移植後の看護(改訂第2版). 南江堂. 184-185.
2)黒澤綾子. 血液内科 2018;76(2):242-249.
3)高橋歩美ほか. Hematology 2020 (2):92-96.