FL, MZL
濾胞性リンパ腫,辺縁帯リンパ腫

MM
多発性骨髄腫

CML
慢性骨髄性白血病

PTCL
末梢性T細胞リンパ腫

ATLL
成人T細胞白血病・リンパ腫

MDS
骨髄異形成症候群

予後因子

悪性リンパ腫は病型ごとに特徴的な予後を示すが、その他にも予後に影響を及ぼすさまざまな因子が報告されており、複数の予後因子を組み合わせた予後予測モデルが提唱されている。PTCLなどの予後予測モデルとしては国際予後指標(IPI)が有用である。その他に、病型に特異的な予後予測モデルとして、PTCL- NOSを対象としたPITなどが報告されている(表1)1-3)。これらの予後予測モデルは、実臨床における治療方針決定の際に必ずしも直接利用されていないが、患者に対する病状説明の際や各病型を対象とした臨床研究で患者背景を表現するためには有用と考えられる4)

表1 

PTCLに用いられる主な予後予測モデル

IPIと年齢調整IPI

IPIはドキソルビシンを含む併用化学療法を施行したアグレッシブ非ホジキンリンパ腫患者2,031例を対象に予後因子の解析を行い、開発された予後予測モデルである。IPIでは5つの予後因子〔①年齢(61歳以上)、②血清LDH(>正常値上限)、③Performance Status(PS)、④臨床病期(Ⅲ又はⅣ期)、⑤節外病変数(2ヵ所以上)〕の数により、低リスク、低中間リスク、高中間リスク、高リスクの4群に分け、予後予測モデルがつくられた(表2)。リスク群別の完全寛解割合はそれぞれ87%、67%、55%、44%、5年生存割合はそれぞれ73%、51%、43%、26%であった3)

表2 

IPIの予後因子

IPIでは60歳を基準として年齢により予後が異なることから、年齢調整IPIも提唱されている。
自家造血幹細胞移植のように若年者のみで高齢者は対象とならない治療や、高齢者のみを対象とした治療の臨床研究に用いられる4)。60歳以下の場合におけるリスク群別の5年生存割合は、低リスク、低中間リスク、高中間リスク、高リスクでそれぞれ83%、69%、46%、32%であっ3)

  1. ^NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®)T-Cell Lymphomas, Version 1.2023 — January 5, 2023, PTCL-A
  2. ^造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版,金原出版、p315
  3. ^飛内賢正 他編:悪性リンパ腫治療マニュアル(改訂第4版), 南江堂,p61-64,2015
  4. ^森茂郎監:リンパ腫アトラス,文光堂,p42-48,2014
  5. ^International Non-Hodgkin’s Lymphoma Prognostic Factors Project: N Engl J Med. 1993; 329: 987-994

2023年10月作成

承認番号:2017-JP-230000813