

PTCL
末梢性T細胞リンパ腫
末梢性T細胞リンパ腫
2023.10.13
がん発生の原因とエピジェネティック薬 1)
多くのがんは、遺伝子発現の異常によって発生しますが、その背景にはDNA塩基配列の異常やエピジェネティクスの異常があると考えられています。DNA塩基配列の異常は不可逆的な異常であるのに対し、エピジェネティクスの異常は可逆的なため、HDAC阻害剤などにより元の状態に戻すことが可能です。
HDACの分類と末梢性T細胞リンパ腫における発現
HDAC阻害剤は亜鉛をキレートするため、酵素反応に亜鉛が必須であるHDACクラスⅠ、Ⅱ、Ⅳの活性を阻害します3)。
HDACはその機能や構造により、クラスⅠからⅣに分類されます。HDACクラスⅠは細胞増殖や細胞死などの制御、 HDACクラスⅡaは神経や筋肉の分化など組織特異的な働き、HDACクラス Ⅱbはオートファジーの制御をそれぞれ行っています3)。また、HDACクラスⅣ は筋芽細胞の分化を制御していると報告されています 4)。
末梢性T細胞リンパ腫ではクラスⅠに分類されるHDAC1、HDAC2の強発現がみられます。一方、クラスⅡbに分類されるHDAC6の発現は弱いことが報告されています(下図) 5)。
図 PTCL-NOSにおけるHDACの発現
2023年10月作成
承認番号:2017-JP-230000813