血液内科領域の情報メディア

 

FL, MZL
濾胞性リンパ腫,辺縁帯リンパ腫

MM
多発性骨髄腫

CML
慢性骨髄性白血病

PTCL
末梢性T細胞リンパ腫

ATLL
成人T細胞白血病・リンパ腫

MDS
骨髄異形成症候群

2021.02.01

多発性骨髄腫の病態と診断、治療

疫学

年齢別罹患率

  • 2015年における推定罹患率は、10万人中6.2人(男性6.8人、女性5.7人)であった1)
  • 診断時の年齢中央値は67歳で、年齢階級別では60-69歳が31.6%、70-79歳が28.2%を占めた2)

図 

多発性骨髄腫 罹患率・年齢階級別(全国推計値:2015年)1)

死亡率

  • わが国の2018年における多発性骨髄腫の推定死亡率は、人口10万人あたり男性は3.5人、女性は3.3人であった。

多発性骨髄腫と形質細胞

  • 多発性骨髄腫は、形質細胞に異常が生じることで単クローン性の増殖がみられるリンパ系腫瘍である。
  • 形質細胞は、B細胞から変化した最終分化段階の細胞である。B細胞は、細菌やウイルスなどの異物を見つけると形質細胞となり、抗体を放出してそれらを攻撃する。

図 

血液細胞の分化1)

多発性骨髄腫の発症・症状

多発性骨髄腫の発症

  • 多発性骨髄腫では、骨髄において単クローン性に増殖した形質細胞(骨髄腫細胞)や、骨髄腫細胞が産生する異常な免疫グロブリン(M蛋白)により、さまざまな症状が引き起こされる。

図 

骨髄腫細胞の増殖とM蛋白の産生

多発性骨髄腫の症状

  • 多発性骨髄腫はB細胞から分化した形質細胞の腫瘍であり、その産物である単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)の過剰産生や、貧血を主とする造血障害、易感染性、腎障害、溶血性変化などの多彩な臨床症状を呈する疾患である。

図 

骨髄腫細胞およびM蛋白により引き起こされる病態と症状1-2)

臨床的特徴

骨病変

頻度

  • 骨病変は、溶骨性骨病変を1ヵ所以上認めることであり、骨粗鬆症、骨折を含めた溶骨性変化は初診時の約72%の患者に認められる1)

表 

骨病変の検出率(日本骨髄腫学会)1)

対象・方法:

多施設共同調査研究として日本骨髄腫学会会員施設の臨床データを集計解析した。
全国32施設3,022例を解析対象とした。

臨床所見

  • 初診時、主訴となるのは骨病変による痛みが多い。骨病変は溶骨性病変が主である1)
  • 単純X線検査での特徴的な所見としては、骨の一部が薄くなり、穴があいたように見える打ち抜き像(punched-out lesion:パンチドアウトリージョン)が知られている。

貧血

臨床所見

  • Hb 10g/dL未満:初診時、患者の約52%に認められる1)
  • 血小板数 10万/μL以下:
    患者の5-10%程度に認められ、そのような患者では、骨髄中の骨髄腫細胞の割合が非常に高い1)
  • 白血球数:通常は正常である1)
  • 貧血症状(労作時息切れ、動悸など):みられることがあるが、軽度の場合は自覚症状に乏しい1)

治療

  • 貧血の治療では原疾患の治療および赤血球輸血を考慮する1)
  • 患者の5-10%程度に認められ、そのような患者では、骨髄中の骨髄腫細胞の割合が非常に高い1)
  • 貧血の根底にある病因を治療するか、鉄補充療法の有無にかかわらず、濃厚赤血球(PRBCs)の輸血、もしくは赤血球造血刺激因子製剤(ESAs)などの支持療法を行う2)

1)

日本骨髄腫学会 編. 多発性骨髄腫の診療指針(第5版), 2020; 文光堂, 6,8,76.

2)

NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology, Hematopoietic Growth Factors, Version 2. 2020

感染症

臨床所見と概況

  • 正常免疫グロブリン抑制による液性免疫の低下があり、感染症を繰り返しやすい1)
  • 感染症は、多発性骨髄腫患者の合併率・死亡率における最大の原因で、健常人に比べ細菌性の発症リスクは7倍、ウイルス性では10倍多い2)

表 

骨髄腫に多くみられる感染症の予防と治療(同種移植を除く)1,3,4)

腎障害

臨床所見と概況

  • 初診時の血清クレアチニン値2mg/dLより高値の腎障害を約15%の患者に認める1)
  • 腎障害の主たる原因は、cast nephropathy(骨髄腫腎:myeloma kidney)である2)
  • 骨髄腫腎のほか、単クローン性免疫グロブリン沈着症(MIDD)、アミロイド腎、直接骨髄腫細胞の浸潤、高カルシウム血症、高尿酸血症、薬剤なども腎障害の原因である2)
  • 早期に適切に対応すれば、回復する可能性がある1)
  • 対応には、化学療法、透析膜を用いた方法がある1)

表 

腎生検によるMM患者の腎障害の病理診断結果(Mayo Clinic 1997-2011) 3)

多発性骨髄腫の初発症状

  • 多発性骨髄腫では腰痛や病的骨折などがみられる。
  • 高齢者に多い疾患であるため、最初はただの腰痛などと思われやすい。また、進行に伴いさらに症状があらわれる。
  • 初診時主訴となるのは骨病変が多く、次いで貧血による動悸・息切れ、全身倦怠感が多い。

表 

症候性骨髄腫患者の初診時主訴1)

製品情報

RevMate_logo

レブラミド・ポマリストにかかわる医療関係者の皆さまに、 レブラミド・ポマリスト適性管理手順「RevMate(レブメイト)」の概要、 遵守いただきたい事項や、処方・調剤の手順などを 解説しています。

RevMateをみる arrow