FL, MZL
濾胞性リンパ腫,辺縁帯リンパ腫

MM
多発性骨髄腫

CML
慢性骨髄性白血病

PTCL
末梢性T細胞リンパ腫

ATLL
成人T細胞白血病・リンパ腫

MDS
骨髄異形成症候群

2021.07

MDS-004試験(海外第III相臨床試験):5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群(MDS)に対するレブラミドの有用性

「警告・禁忌」等その他の項⽬はDIページをご参照ください。

レブラミド5mg投与は5番染⾊体⻑腕部⽋失を伴う⾻髄異形成症 候群において承認外の⽤法・⽤量ですが、 本試験はレブラミドの承認申請資料として評価されているため紹介します。

海外第III相臨床試験(MDS-004試験) の論文発表されたデータをご紹介します。

海外第III相臨床試験(MDS-004試験) <海外データ> 

赤血球輸血依存からの離脱の起点までの期間:副次評価項目

連続26週以上の赤血球輸血依存からの離脱を達成した患者では、2サイクル目までに86%の患者で離脱が始まりました。

Fenaux P, et al. Blood. 2011; 118: 3765-3776.より作成

赤血球輸血依存からの離脱持続期間 :副次評価項⽬

レブラミド投与群での赤血球輸血依存からの離脱持続期間はデータカットオフ時点で未到達であり、この時点で離脱を持続していたのはレブラミド10mg群60.0%(15/25例)、レブラミド5mg群66.7%(16/24例)でした。

Fenaux P, et al. Blood. 2011; 118: 3765-3776.

血中ヘモグロビン(Hb)濃度の推移 :副次評価項⽬

連続8週以上の赤血球輸血依存からの離脱を達成した患者における血中ヘモグロビン濃度の最大変化量(中央値)は、レブラミド10mg群で6.3g/dL(範囲:1.8 ~ 10.0g/dL)、レブラミド5mg群で5.2g/dL(範囲:1.5 ~ 8.5g/dL)でした。

Fenaux P, et al. Blood. 2011; 118: 3765-3776.

細胞遺伝学的反応:副次評価項⽬

細胞遺伝学的反応(部分奏効以上)は、レブラミド10mg群50.0%(うち完全奏効は29.4%)、レブラミド5mg群25.0%(うち完全奏効は15.6%)に認められ、プラセボ群では認められませんでした。

Fenaux P, et al. Blood. 2011; 118: 3765-3776.より作成

全生存期間(OS):副次評価項⽬

OS中央値は、レブラミド10mg群で44.5ヵ月(95%信頼区間 35.5 ー 未到達)、レブラミド5mg群で≧35.5ヵ月(95%信頼区間 24.6 ー 未到達)、プラセボ群で42.4ヵ月(95%信頼区間 31.9 ー 未到達)でした。なお、レブラミド群全体の3年生存率は56.5%(95%信頼区間 49.5 ー 63.4)でした。

Fenaux P, et al. Blood. 2011; 118: 3765-3776.

急性骨髄性白血病(AML)への移行:副次評価項⽬

レブラミド群(5mg、10mg)の累積AML移行リスクは、2年で16.8%(95%信頼区間 9.8 ー 23.7)、3年で25.1%(95%信頼区間 17.1 ー 33.1)でした。

Fenaux P, et al. Blood. 2011; 118: 3765-3776.より作成

参考情報

健康関連QoL(HRQoL):副次評価項目

レブラミド投与群では、QoL(FACT-An* スコア)が以下のように推移しました。

海外第Ⅲ相臨床試験 (MDS-004)の詳細については、「試験概要、患者背景」のページをご参照ください。

Revicki DA, et al. Leuk Res. 2013; 37: 259-265.

対象

MDS-004試験のITT集団のうち、ベースラインおよび少なくとも1回の評価が行われた患者(HRQoL ITT集団 : n=167)

試験方法

FACT-An評価アンケートを用いた患者による自己評価。ベースラインおよび12、24、36、48週、以降12週ごとに評価した。

プラセボ群のFACT-Anスコアは12週時点のみ(16週時点でクロスオーバーが行われたため)。
MID(minimally important difference)は、Hb濃度1.0g/dL以上の増加がみられたがん患者のデータから規定され、ここでは7と設定した。
* FACT-An: Functional Assessment of Cancer Therapy ‒ Anemia

3) Revicki DA, et al. Leuk Res. 2013; 37: 259-265.
海外第Ⅲ相臨床試験(MDS-004)は米国Celgene社(現 Bristol-Myers Squibb)の資金提供によりレブラミド開発治験として実施され、 この結果を報告した論文3)の著者らは、米国Celgene社(現 Bristol-Myers Squibb)の社員や指導料などの謝金を受領したものを 含みます。

安全性:副次評価項⽬

有害事象は、プラセボ群63/67例(94.0%)、レブラミド5mg投与群69例全例(100%)、レブラミド10mg投与群69例全例(100%)に認められました。主な有害事象はプラセボ群では下痢13例(19.4%)、好中球減少症12例(17.9%)、無力症11例(16.4%)、レブラミド5mg投与群では好中球減少症53例(76.8%)、血小板減少症30例(43.5%)、下痢21例(30.4%)、レブラミド10mg投与群では好中球減少症53例(76.8%)、血小板減少症34例(49.3%)、下痢25例(36.2%)でした。 重篤な有害事象は、プラセボ群14例、レブラミド5mg投与群28例、レブラミド10mg投与群31例に認められました。
主な重篤な有害事象は、プラセボ群では発熱2例、レブラミド5mg投与群では血小板減少症 5例、発熱4例、好中球減少症4例、レブラミド10mg投与群では深部静脈血栓症4例、好中球減少症4例 でした。
治験薬の投与中止に至った有害事象は、プラセボ群3例、レブラミド5mg投与群11例、レブラミド10mg投与群6例に認められました。その内訳は、プラセボ群では急性骨髄性白血病NOS1例、動悸1例、妄想性障害, 身体型1例、レブラミド5mg群では好中球減少症4例、貧血NOS1例、急性骨髄性白血病NOS1例、白血病NOS1例、転移性肺癌1例、発疹NOS 1例、膿疱性皮疹1例、深部静脈血栓症1例、心房細動1例、低血糖症NOS1例、筋痛1例、レブラミド10mg群では好中球減少症1例、血球貪食症候群1例、急性骨髄性白血病NOS1例、肺炎NOS1例、深部静脈血栓症1例、心筋梗塞1例、腎不全NOS1例、肺塞栓症1例でした。 最終投与後30日以内の死亡はプラセボ群2例、レブラミド5mg投与群2例、レブラミド10mg投与群4例に認められました。その内訳は、プラセボ群では成人呼吸窮迫症候群2例、レブラミド5mg投与群では血栓症-肺塞栓症1例、嚥下性肺炎1例、レブラミド10mg投与群では全身状態の悪化(詳細不明)1例、MDS悪化による脳出血1例、敗血症性ショック(呼吸器由来)1例、急性骨髄性白血病1例でした。 また、Grade 3/4の主な有害事象は、骨髄抑制と深部静脈血栓症でした。他のGrade 3/4の有害事象は、感染症(レブラミド10mg群:16%、レブラミド5mg群:9%)、発熱性好中球減少症(レブラミド10mg群:1%、レブラミド5mg群:3%)でした。


Grade 3/4の主な有害事象の発現状況

MDS_OS_CT04_01

CTCAE v3.0

Fenaux P, et al.: Blood. 2011; 118: 3765-3776.
社内資料:レナリドミドの外国第Ⅲ相臨床試験(骨髄異形成症候群)<承認時評価資料>

4.効能又は効果(抜粋)
5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群
5. 効能又は効果に関連する注意 (抜粋)
<5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群>
5.2
国際予後判定システム(International prognostic scoring system:IPSS)によるリスク分類の中間-2リスク及び高リスクに対する有効性及び安全性は確立していない。
6. 用法及び用量(抜粋)
<5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群>
通常、成人にはレナリドミドとして1日1回10mgを21日間連日経口投与した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。