骨髄とリンパ節の標本を大量に見て、研鑽を積んだ日々

福岡大学には長くいらっしゃったのですか。

鈴宮

2007年まで16年ほどいました。菊池先生の下で、大島孝一先生(現:久留米大学教授)と一緒に仕事をさせてもらいました。論文をたくさん書かれる先生で、多いときは1年に20本程度論文を書かれていました。夜は一緒に標本を見ながら、「これ、なんか変だよね」などと話して、面白そうだとそのまま大島先生が研究するのです。僕も共同研究者として、たくさんの論文に共著者として名前を加えて下さったので、僕の業績集をみた田村先生から大島先生の業績集かと言われたのが印象的でした。菊池先生と大島先生には、感謝の言葉もありません。通常の病理の仕事とは別にそのころは、大学院生が見た骨髄の標本を大島先生と2人で年1,000件ぐらい、リンパ節の標本も年1,000件弱くらいみて、みんなで一緒に菊池先生にチェックしてもらっていました。その時期の勉強はとても貴重で、恵まれた環境にいたとつくづく思います。
形態学は地味だし、古くさいですが、情報量も多く大事な部分であり、そこからみえるものもあります。今ではもっとビジュアル化されていますが、そういう部分から見る血液というのも面白いと個人的には思っています。
その後、2009年に島根に赴任するまで、福岡大学筑紫病院に診療科長として赴任しました。循環器と消化器以外の疾患の診療をして、毎日総合内科の外来をしていました。色々な意味で大変でしたが、今思えば、診療科長の練習をさせていただいた貴重な2年間だったと思います。



命にかかわる病気の患者さんに接する臨床と、顕微鏡をコツコツ覗いて地道に研究する病理の両方が先生にとって重要だったのですね

鈴宮

血液の先生は自分で標本を診ていますので、そこからどういう情報を読み取るかが重要です。今は形態学を勉強して、解剖学に進む医師はほとんどいませんし、解剖学の先生も遺伝子を研究したりしています。上手にバランスをとらないといけない部分ですが、一人で両方をやる必要もありません。そのなかで、私たちは血液の中の目で見える部分を追及してきたわけです。