検査、診断、治療までのすべてに関われるのが魅力

大学に入学されてからは、医学の勉強に専念されたのですか。

黒田

医大ですから逃げ道がありません。教養課程はただ授業を受けるだけでしたが、学部移行してから「医学は面白いかもしれない」と思い始めました。もともと生き物が好きでしたし、受験は生物選択でしたので、医学の生命科学的な側面に魅力を感じるようになりました。また、大学の先生や先輩方が一生懸命に仕事をされている姿を見て、少し反省しました。とはいえ、野球はやりたかったので、大学の野球部に入部し、選手として5年間過ごしました。そのときの仲間や先輩たちとは、今もいい関係が続いています。

血液内科には、最初から興味があったのですか?

黒田

いいえ。当時は大講座制で第1内科、第2内科、第3内科という分類になっていました。私は第1内科で、幅広い分野の知識と技術をもつジェネラリストを養成するのが医局の方針だったと思います。消化器と糖尿病・膠原病内科が中心の教室で、血液の占める位置は小さかったです。内科を選択したのは、祖父の影響が大きかったと思います。一般的な疾患を幅広く診て、地域の医療に多少でも役に立てればと思って内科に入りました。

では、なぜ血液内科の道に進まれたのですか。きっかけは?

黒田

第1内科でいろんな患者さんを診ていく中で、血液疾患は不公平な病気だなと感じました。当時は今よりも有効な治療が少なく、移植も現在ほど進歩していません。自分と同年代の人が突然、再生不良性貧血になったり、早期退職して好きな人生を送ろうと京都へ戻ってきた矢先に、白血病を発症したり。普通の人は平均寿命ぐらいまで生きることをイメージしていると思うので、血液疾患になったということは大幅に「予定外」なんです。流れ弾に当たったような、理不尽な病気だと思いました。血液内科医になったら大変だろうなと思ったのですが、体か気持ちのどちらかがもたなくなったらやめればいいと考え、できるところまで頑張ってみようと思いました。また、血液内科は一人の医師がファーストタッチで診て、疑って、検査をして診断を確定し、治療方針を決めて治療します。その一から十まで関われることに魅力を感じました。