研究も、人との出会いも、
すべてが自分の中でつながっている

最近はさまざまな領域で分子標的療法が主流になりつつありますね。

木崎

僕はAMLから始めたけれど、分子標的療法は慢性骨髄性白血病や多発性骨髄腫などさまざまな血液癌に応用されていますし、固形癌でも広く使われています。僕が骨髄腫や慢性骨髄性白血病の講演をすると、昔を知る人は「AMLが専門だったのに、何故?」と言うのですが、自分の中では一貫しており、すべてがつながっているのです。それは、人との出会いも同じだと思います。恩師だったり、患者さんだったり、そのときはこの人に出会って将来どうなるかなんて誰も考えませんが、そういう出会いを大切にしていると、結果としてつながってくるものがあるんだなと感じています。

人との出会いはどのようにつながっていったのですか。

木崎

先ほど、私のメンターだと言った伊藤明治郎先生とは不思議な縁があるのです。留学を終えて慶應義塾大学に戻ったときに、自主学習の制度(医学部4年生が1学期の間、好きな研究室に所属して研究などを行う制度)で初めて僕のラボに入ってきたのが伊藤明治郎先生の甥の伊藤圭介君だったんです。彼は卒業後も血液内科を選んでくれて、僕と一緒に研究し、一緒に論文を書きました。その後はアメリカのPier Pandolfi先生のところに留学し、今はニューヨークにあるアルベルト・アインシュタイン医学校のプリンシパル・インベスティゲーター(PI)として自分の研究室をもって活躍しています。

実は僕もPandorfi先生とは縁があって、UF-1をつくった頃に彼もAPLの研究をしていて、パリでAPLの会議があったときに同じホテルに泊まっていたのです。朝の6時に朝食を食べにいくと、いつもPandorfi先生と2人なんです。「どうして日本人はこんなに朝が早いんだ」と聞かれて、「仕事が好きだから」と答えると「俺もだ」ということになり、いろんな話をして、それからお付き合いが始まりました。それで伊藤君が留学することになったのです。2016年の日本血液学会学術集会にも招聘された有名な先生です。

今年は木崎先生が学会長を務められるのですね。

木崎

ええ。お世話になった私のメンターでもあるフィルをこれまでの恩返しの意味をこめて、特別講演でお呼びしました。会長シンポジウムには海外で活躍している若い日本人PIを5名呼んで白血病幹細胞に関するシンポジウムを行うことにしており、そのうちの一人が伊藤圭介君です。学会のポスターもでき上がりました(写真)。今年度から始まる埼玉医科大学の第4次長期総合計画の標語が「飛翔」なので、学会のポスターは「飛翔」と学会のテーマである

「Innovation and Creation」からイメージして、東京の風景の中を蝶が舞い飛ぶ幻想的なビジュアルを作ってもらいました。よく見ると、蝶が分化して赤血球や血小板になっているでしょ?。

僕の2つの目標である若手の育成と国際化を具現化する学会にしたいと思っていますので、ぜひ、ご参加いただければと思います。