個人的な夢は、どこまでも遠くへ行く冒険

大人になってからの先生の趣味や、お好きなことは何ですか?

豊嶋

とにかく、どこまででも遠くに、一人で行きたいですね。縛りがない世界。たとえば、全く知らないアフリカの奥地に一人で行って、知らない人の家に1週間住むなどということが好きです。ようするに冒険が好きなのです。仕事があるため、実際には、そんな冒険旅行には行けませんが、その代わり、九州にいた時代には、モーターボートで遠くまで行っていました。

船舶免許をお持ちだったのですか?

豊嶋

ええ。今でも船舶免許を持っていますよ。仕事が忙しくなり、時間がなくて、操縦の機会はなくなりましたが、いずれ、その世界に戻ろうと思っています。 十年くらいはモーターボートに夢中でしたね。最初のボートが唐津で「てしまる1号」。次が福岡で「てしまる2号」、そして瀬戸内海で「てしまる3号」。最後の3号は、規模が大きくなり、寝るところもある、5人乗りくらいのボートでした。若い者を連れて、バーベキューの食材や道具を積んで、小豆島まで行ったりしていましたね。 当時は激務があっても、たとえば日曜日の朝に病棟に行き、受け持ち患者さん全員を診て、今日は大丈夫だと思うと、モーターボートを走らせ、遠くまで行き、また夕方に戻ってきて、回診していました。

船で怖い思いをなさったことはないのですか?

豊嶋

ありますよ。あるとき、小さなモーターボートで遠くを目指しました。羅針盤も、海図もなしで、どこにも島が見えないのですが、ガソリンの予備タンクをいっぱい積んで、直感で進みました。天気がよかったから、とても気持ちがよくてね。
ところが帰りにボートが動かなくなり、漂流しました。巨大船がやってきても、動けないので、逃げられないし、あのときは「もう、ダメかなあ」と思いましたね。
そのときはエンジンの不調だと思っていました。それでも「エンジンを切ったら死ぬな」と思い、エンジンは切らずにいました。やがてタンクの中のガソリンを使い切り、次の予備タンクから再びガソリンを入れたところ、ボートが動き出し、気づきました。「ははあ、動かなくなる前に予備タンクから入れたのは『灯油』だったんだな」多分、ガソリン屋がまちがえたのでしょうね。ダメだと思った瞬間もありましたが、どこかで、「どうにかなる」と、いつも思っていましたね。人生も、どこでどうなるかわからないし、流し流されてきた感じです。

大変な経験でしたね。その他のマリンスポーツはなさらないのですか?

豊嶋

ウィンドサーフィンをやっていたこともあります。大学のとき、剣道部に入っていましたが、剣道部は夏に終わります。それから卒業まですることがなくなるので、その間、市民サークルのヨット部に入りました。そのあとウィンドサーフィンに転向して、そしてモーターボートへとつながったのです。やはり海は開放的でいいですね。海に出ると、あの青い空と青い海以外何もない。もう、どんどん進んで行くしかないと思えてきますよ。