やりがいのある仕事を求めて、血液内科へ

血液内科を選ばれた理由は何ですか?

豊嶋

学生のときには、進路について明確な答えは持っていませんでした。たかだか二十歳ちょっとくらいでは、自分の人生を決めることは、なかなかできません。いろいろ考えた結果、将来の選択肢が一番広い第一内科に入りました。 
医師になった当時、医師というのは結局サービス業なのではないかと感じました。たとえば風邪の患者さんが夜にやってきます。なぜ、夜来るのかをたずねると、「昼間は仕事があるから」と言います。そして、点滴を要求され、「点滴はあまり意味がありませんよ」などと言おうものなら、今度は怒りだします。こちらの話は聞かず、自分の都合ばかり押し付けてくるのを受け止めながら、「これではホテルマンなどと変わらぬサービス業だなぁ」と思いました。

医師をやりがいのある仕事と思えない経験をしたのですね。

豊嶋

ええ。これではだめだと思いました。「やりがいのある医者になりたい」と思った卒後1年目のときに、血液がんの患者さんを自分の手で治療をして、劇的に効果が出ることを経験し、血液内科に進もうと思いました。
人というのは、そういうものではないでしょうか。いろいろな道がありますが、若いときはなかなか選べず、ちょっとしたきっかけ、偶然の積み重ねで、道が決まります。

その血液がんの患者さんとの出会いが大きかったのですね。

豊嶋

そういう経験をして思ったのは、やはり、本当に人を救うために、この職業になったのだということです。その当時、こうも思いました。
「2人治せば、自分が生まれてきた価値がある。1人の命で2人救ったら、あとは遊んで暮らしてもいい」しかし、いまだに医師をやめていません。人を救うことにはきりがありません。

多くの経験を重ねられたいま、感じる血液内科の魅力は何ですか?

豊嶋

ほかの科は、検査、病理、放射線治療など分業制度ですが、血液内科は診断も治療も、すべて自分の手で行います。だから、全ての責任が集中するけれど、同時に患者さんやご家族からの全幅の信頼も得られる気がするのですよ。私にとって一番やりがいを実感できる科が血液内科だったのですね。「これこそ社会人だ!」という気がします。社会人としての充実感を感じるところが魅力だと思います。