良き師にワインの道へ導かれて

先生のご趣味はなんですか?

小松

趣味を聞かれると「ワイン」と答えていますが、僕はワインの銘柄とか、そういうことには正直、あんまり関心がないんです。産地を当てるとかもできません。ソムリエの人に、「いやあ、僕はこれがどこのブドウでどこのワインで、何年物だというのは全然わからないんですよね」と言ったら、「いやいや、先生、いいんです。先生はおいしそうに飲むから、それでいいんですよ」と言われました。おいしいかどうか、自分が好きかどうかでいいんだと思いました。

ワインをお好きになったきっかけは?

小松

僕が研修医のときに、ワイン好きの指導医がいらして、ご自宅に研修医3、4人を招いて、ワインを教えてくださったんです。ドイツワインの非常に安いワインから始めて、カビネット、シュペトレーゼ、アウスレーゼ、トロッケンベーレンアウスレーゼと、高価なものへと順番に飲ませてくれました。どんどん高くなってくると、甘くなってくるんですね。そのときにワインはこんなにおいしいものなんだと知って好きになりました。

いい入門でしたね。教えてもらうというのが一番の近道ですものね。

小松

ひとりで飲むと1本だけど、みんなで飲むと、飲み比べられるんですよね。良い先輩で、いろいろなワインを取り揃えて、ご馳走してくださいました。高価なワインの味を知ってしまうと、安いワインはもう飲まない。わがままなものですよ。だから、最初からうまいのを飲むなんてとんでもないですね。

そうしてワインの味を覚えられたのですね

小松

さらに自治医科大学には、その当時、学長の高久先生が主催されるワインの会というのが1ヵ月に1回あったんです。自治医科大学の図書館の1階にあるレストランで開かれていました。毎月テーマのワインが決まっていて、それに合わせた料理を出してくれるんです。多くの教授と助教授の一部が参加して、5、6人ぐらいずつテーブルを囲む会でした。単なる飲み会じゃなく、「今回は、あなたは3番テーブルへ」などと指定されて、テーブルを囲む組み合わせが毎回違う。
まったく知らない診療科の教授とか助教授の先生と、一緒にワインを飲んで、「このワインは…」とか話していると、飲み友だちになるんですよね。教授同志、スタッフ同士、非常に仲が良くなる。そして、何か困ったら直接電話がかかってくるんです。院内のコミュニケーションが良くなり、教授同志もお互いに仲よくなって、あれは高久先生の手腕だなと思いました。高久先生もワイン好きでしたから飲んで、みんなと和気あいあいやっていました。

そうしてワインにはまられたんですか。

小松

ええ、ものすごくワインも好きになりました。そんなときに、ワインの名産地山梨に来いと言われたので、これは…運命ですね。
山梨ではワイナリーを一通り回りました。家内と一緒にワイナリーに行くと5回に4回は家内が試飲をするので、僕は脇で「どんな味?」と聞いていましたね。
食べ物を食べたり、あるいはお酒を飲んだりして、「おいしい」と味わえるのは幸せなことだなと思いますね。病気したりとか、精神的に病んだりしたら、おそらくおいしいとは思わないでしょうし、味もわからないでしょう。自分が健康だからこそ、やっぱりそういうことを味わえるんだなあと思います。