一般講演3-2

IL-9 receptor signaling in memory B cells regulates humoral recall responses1)

IL-9受容体シグナルを介した記憶B細胞の二次応答制御

高塚 翔吾 先生

国立感染症研究所 真菌部/東京理科大学 生命医科学研究所

記憶(メモリー)B細胞(Bmem細胞)は,長期的な記憶免疫において中心的な役割を担っている。Bmem細胞は,主に一次応答時に活性化したB細胞が増殖して形成した胚中心から分化した細胞で長期生存し,ヘルパーT細胞から分化したメモリーT細胞とともにリンパ組織を巡回しながら特異的な抗原の進入を監視する。再度,同じ抗原に遭遇すると,迅速に増殖して形質細胞に分化し,特異抗体を産生する2)。この二次応答の制御機構についてはまだ十分には解明されていない。

我々は,初回免疫後のBmem細胞上にIL-9受容体(IL-9R)が選択的に高発現していることを見出した1)。このIL-9R発現はCD40を介したシグナルにより誘導され,IL-4やIL-21によって抑制されることがわかった1)。IL-9RをノックアウトしたIL-9R欠損マウスでは初回免疫後の抗体産生応答は正常であったが,二次応答時の血中抗体価が減弱しており,Bmem細胞の増殖および抗体産生,形質細胞への分化が減弱していた。これによりIL-9はBmem細胞の抗体産生,形質細胞分化を促進することが確かめられた(図1)1)

以上より,Bmem細胞は二次応答時にIL-9Rを介してIL-9シグナルを受けとることで,迅速な増殖および形質細胞への分化が促進されることが判明した1)

一方,IL-9Rを介したシグナルはBmem細胞表面上の共刺激受容体ICOS(inducible T-cell co-stimulator)リガンドの発現を抑制し,ICOSを発現するメモリーT細胞の活性化を阻害することにより,二次応答後の胚中心の形成を抑制することが明らかになった1)。実際,IL-9R欠損マウスでは,二次応答時にBmem細胞がIL-9を受けとることができないので,二次応答後の胚中心の形成を抑制することができず,胚中心B細胞の分化が増大していた(図2)1)。また,二次応答時に活性化されたBmem細胞の一部はIL-9を産生しており,Bmem細胞自身によるオートクリン・パラクリンの調節機構が二次応答時に働いている可能性が示唆された1)
   これらの所見により,Bmem細胞におけるIL-9Rシグナルを介した二次応答制御機構の詳細が解明されつつあり,今後,Bmem細胞の二次応答制御を応用したワクチン接種法の開発につながるものと期待される1)

【参考文献】

  1. Takatsuka S, et al. Nat Immunol 2018; 19: 1025-1034.
  2. Shlomchik MJ, Weisel F. Immunol Rev 2012; 247: 52-63.

図1 IL-9はBmem細胞の形質細胞分化を促進する

図2 IL-9R欠損Bmem細胞は二次応答時の胚中心B細胞分化が増大する