一般講演3-1

Integrating genomic alterations in DLBCL identifies new relevant pathways and potential therapeutic targets1)

加留部 謙之輔 先生

琉球大学大学院医学研究科 細胞病理学講座

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)は,悪性リンパ腫のなかで最も頻度が高い亜型である2)。その病態はまだ明らかでなく,臨床病理学的にも多様で,その分子学的背景の把握が急がれる。近年,DLBCLに関するゲノム研究により,多数の体細胞変異および構造変化が明らかになっている3-7)。しかし,これらの変化の臨床的意義については十分解明されていない。

本研究では,DLBCL患者150例において,106個の遺伝子を次世代シークエンサーで分析し,ゲノムコピー数変化(CNA)と統合して解析した。また,臨床的に重要と判断された所見については,111例からなる独立したコホートで検証した1)

その結果,胚中心B細胞型(GCB)DLBCLと活性化B細胞(ABC)型DLBCLでは,変異プロファイル,変異が認められるシグナル経路およびゲノムCNAがそれぞれに異なっていた。DLBCLにおいては多種多様な遺伝子がゲノム異常を示し,たとえばDLBCLの予後に関連する遺伝子異常を解析しても,多様すぎて解釈が困難であった(図1)1)。そこで,B細胞受容体シグナリングやエピゲノム関連など,遺伝子をいくつかのpathwayに分けて分析したところ,NOTCH経路関連遺伝子群,p53/p16異常症例では予後が悪いことが示唆された(図2)1)

DLBCLには多種多様な遺伝子異常が存在するが,分子pathwayに注目し,病理組織学的所見,臨床症状などと比較することで,病態解明,治療選択につながる異常の相関が明らかになってくると思われる。我々は,次世代シークエンス法を用いた病理標本のhomemade解析によりJAK-STAT経路の詳細な分析を進めており,その研究成果が得られつつある。

【参考文献】

  1. Karube K, et al. Leukemia 2018; 32: 675-684.
  2. Medscape Education Oncology. (2018.10.10)
  3. Pasqualucci L, et al. Nat Genet 2011; 43: 830-837.
  4. Morin RD, et al. Nature 2011; 476: 298-303.
  5. Lohr JG, et al. Proc Natl Acad Sci USA 2012; 109: 3879-3884.
  6. Zhang J, et al. Proc Natl Acad Sci USA 2013; 110: 1398-1403.
  7. Morin RD, et al. Blood 2013; 122: 1256-1265.

図1 DLBCLの予後に関連する遺伝子異常(1)

図2 DLBCLの予後に関連する遺伝子異常(2)