一般講演1-1

Expression of programmed cell death ligand 1 is associated with poor overall survival in patients with diffuse large B-cell lymphoma1)

喜安 純一 先生

飯塚病院 血液内科/久留米大学医学部病理学

我々は,抗腫瘍免疫応答においてキーとなるチェックポイント分子のなかでも現在,最も注目されているPD(programmed cell death)-1に着目し,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)におけるPD-1/PD-L1経路の役割を検討している。

本研究では,PD-L1発現DLBCLの臨床病理学的特徴を明らかにするため,1,253のDLBCL生検標本においてPD-L1/PAX5二重免疫染色を行った。その理由としては,腫瘍浸潤非悪性細胞(主にマクロファージ)にもPD-L1が発現しているからである2)。その染色パターンから,腫瘍マーカーPAX5陽性の全腫瘍細胞のうち,PD-L1陽性率が30%以上のものをPD-L1>+DLBCLという新たな定義を策定した。また,この定義では腫瘍自体はPD-L1陰性ながら,微小環境においてPD-L1陽性の非悪性腫瘍が全細胞中の陽性率20%以上のものをmPD-L1 DLBCLとした。これに基づいて解析するとともに,臨床データが得られた273例について,PD-L1腫瘍浸潤リンパ球(TILs)の量的分析を行った。

それらの結果をまとめると,PD-L1 DLBCLとmPD-L1 DLBCLの頻度はそれぞれ10.8%および15.3%であった。背景因子との相関をみると,いずれもnon-germinal center B cell(GCB)型およびEpstein-Barrウイルス陽性と有意に相関していた(PD-L1DLBCLではそれぞれp<0.0001,p=0.003,mPD-L1DLBCLでは両者ともp<0.0001,Fisher正確確率検定)。

また,PD-L1TIL数は,GCB型腫瘍で非GCB型に比して有意に多く(p=0.034),mPD-L1陰性のほうが陽性よりも有意に多く(p=0.017),PD-L1陰性のほうが陽性よりも有意に多かった(p<0.0001,それぞれWilcoxon符号順位検定)。

予後との関係では,PD-L1DLBCLの患者群は陰性患者群よりも全生存期間(OS)が有意に短かった(p=0.0009,log-rank検定,)。一方,mPD-L1の陽性患者群・陰性患者群間でOSに有意差はなかった(log-rank検定)。多変量解析においても,PD-L1の発現はOSの独立した有意な予後不良因子であった[ハザード比1.809(95%CI:1.051-3.112),p=0.0323(Cox比例ハザード回帰モデル)]()。

本論文は,PD-L1DLBCLの臨床病理学的特徴に関する初めての報告であり,今後,相互関係を含め腫瘍と微小環境の両面からPD-1/PD-L1経路の役割を解明していきたい。

【参考文献】

  1. Kiyasu J, et al. Blood 2015; 126: 2193-2201.
  2. Chen BJ, et al. Clin Cancer Res 2013; 19: 3462-3473

図 DLBCL腫瘍細胞におけるPD-L1の発現は予後不良と関連がある

表 多変量解析の結果(Cox比例ハザード回帰モデル)